制作過程で
僕はおもしろいなぁと思ったこと1.これが星に願いをタップだ!!
一見ふつうの2つ穴タップのようですが、台は計算用紙の一番後ろについてる台紙で軸は使用済みのえんぴつをけずってつくった全くの廃品利用。
15分くらいで出来ます。
当然精度は悪いけど私のカットは全部このタップで作画したのであのくらいはできます。
2.これが星に願いをトレス台だ!!
これも全てありもので作りました。タップやトレス台は別に「星に願いを」専用というわけではなく、大学に入っていきなり遊びの映像研究会なるサークルに入ってしまったのでありもので何とかしようと、とりあえず作ったものでそのままずっと作業をしてしまいました。
お菓子かなんかのダンボールの空箱に机の上などに置くあの電気スタンドをばらして入れました。スイッチも電気スタンドのをそのまんま使ってます。それに透明のプラ板にB4のらくがき帳の紙をはりつけたものでふたをしました。作画の調子や精神状態が悪いとよくなげるのでプラ板は割れてしまってガムテープで補強してあります。安座をして使います。
今は私のアパートのおしいれで宝物として眠ってます。
3.撮影は大変だった。
古橋様のアパートメントで撮影を行いました。
時折図のような状態に陥りました。カット袋をおくとこがなくなって撮影台の前に置いてしまったので今度は撮影ができなくなってしまいました。
古橋様の強硬な主張により撮影済みのカットは即日私のアパートに持って帰りました。当然私のアパートが同様な状況になりました。
4.ピノキオのこと
予告で登場するロボットのことをテロップで「ピノキオ」と書いたらあのロボットのことをピノキオと呼ぶ人がいて(あたりまえか)驚きました。あれはたまたま?作品が『星に願いを』ってタイトルだから書いただけであのロボットの正式名称は「XUA3(えっくすゆーえーさん)」といいます。設定上試作機だから「X」で私の遊映研(UAC。”UA”っていうのは”遊映”のことです)で作った作品で3番目に出てきたロボットなのでそう名付けました。
5.ゆかいな中大軍団
にはふれないでおこう。
6.タイムシートはあとでつくった
カット袋とタイムシートは仕事でアニメーションをやり始めてその有効性に気がついたので90年頃からつくりだしました。
月1回くらい日曜日に千葉の実家に帰ってひたすらシートをつけて袋に詰めてました。実家にカットをおいといたのは量が多すぎて全部アパートにおいておけなかったからです。作業が終わるまで適量をアパートに持ってきて作業をしてまた持ってゆく、ということの繰り返しでした。
カット袋は会社の昼休みに近くの文房具屋で買ってきて机の横に置いておいときました。みんななんて思ったのでしょうか。
シートつけるとき、本来のタイミングとかトメのコマ数忘れててテストフィルムのコマ数を数えながらつけたこともありました。今考えると怖い。
7.ほんとは全部ぬる筈だった。
実はあの白いモッブも当初は全部塗る予定だったのです。主人公の女の子がかすむくらいのハデな色で。
でもあまりにも大変だからあの世界では白い服が流行しているという設定を急遽つくって色をぬらないことにしたのです。
ついでに云えば白い壁も最初はクリーム色の色鉛筆で全部ぬろうと思ってたんだけどモッブと同様にぬるのをあきらめてしまった。
8.謎のF.O
ラストシーンでの女の子のカゲがきえるというカットはあとから強引につけ加えたものなんだけど本来はOLによるF.Oで消すんですが実は『星に願いを』を撮った愛機のエルモ612XLではフィルムの巻き戻しができないので奥のロボットの目をセルに貼り付けて紙に描いた女の子のカゲの上にトレーシングペーパーを重ねることでF.Oの効果を出したのでした。
こういうことはペーパーアニメをはじめたばかりの人なら誰でも思いつくことで高校の後輩がつくった作品でもやってたので笑ってしまいました。
こういうのもテクニックというのかどうか。
9.撮影は大変だった2
これはちょっと技術的なことになるのですが上下タップはいっぺんに撮りました。実は制作開始時にはテストなどする事もなく見切り発車でしたのでレイアウトではきちんとやっていたとはいえ実際撮ってみるまではどうなるか判りませんでした。でもよく考えてみたらフレームとかレイアウトとかそんなに厳密なものではなかったのでタップが写ってなかったらそれでよかったのですが。
スタンダードや三穴タップの場合には完全にばらしてしまわないといけなかったのですがB6のカットの場合は上下タップの間に直接セッティングできたので思ったより楽でした。
10・古文書と化した絵コンテ
絵コンテは1984年に本篇とほぼ同じものができたんだけどそれ故に現在は変色してしまって経過した時間の虚しさを感じさせます。制作中、水原賢治に見せたら「古文書と化している」といわれてしまいました。それでも途中で追加というかあとで書き直したとこもあってそれはレイアウトの段階で絵コンテと変わってしまってでもそれをどうかえたのか判らなくなってしまったので撮影用に書いたものです。柴様のやったシーンも同様で作画時にわざわざ書いてきてくれました。
11・同じカットが複数あった
撮影に入る少し前にちゃんとカットがそろってるかどうかチェックしたら1カットだけどうしても見つからなくてしょうがないので新たに作画し直しました。これはよくある話ですが笑ってしまったのが同じくチェックしてたらトメでしたが同じカットが3カットあったって云うもので、確かに表情とか悩んだカットだったのですがまさか3枚もあるとは思いませんでした。
12・スタッフ続々と脱落
これが一番おもしろかったかも(笑)。そりゃぁまぁ、世の中にはアニメーションつくるよりおもしろいこといっぱいありますからねぇ。