『宝箱の逆襲』雑感



 これもアニメーション研究会連合の上映会オープニングを作り直したものですが、実際にオープニングで使用した部分は真ん中辺だけで、あと前後とその間はあとから、しかも何段階にもわたってつけ加えたものです。

というわけでこの作品には一貫した流れのある絵コンテなるものは存在していませんです。最初の箇所こそ手製の絵コンテ用紙に絵コンテを切ったものの、そのあとはB4の「らくがきちょう」に適当に四角を書いてそこにまるちょんでキャラを描いて絵コンテとしたり、しまいには絵コンテを切らずにL/Oで直接カット割りなどしてしまいました。

だから当然、最後のオチなどは当初は全然頭になかったわけで、しかも、好き勝手にカットつくって、収拾がつかなくなったと言うことすら全く気にしていませんでした。

 オープニングのバージョンでは少女と宝箱が激突したあとで「オープニングの途中ですがこの場を借りて『星に願いを』完成の報告をさせていただきます。」というテロップを入れました。そのテロップがそれまでの話の緊張感をそぐ、というそのためだけのその前後だったのでおざなりと言えばこんなにおざなりなことはありませんです。

 この作品は『星に願いを』が完成した直後と言うこともあってか、日々をなんとなく過ごしていて、気がついたらできちゃった、という感じです。「車は急に止まれない」と言うところですかね。

 ところでこの作品の得体の知れないスタッフですが、面白いかなぁ〜〜〜、と思ってやったら面白くならなかっただけのもので特に意味はありません。作品内にも、「薄れゆく意識の中で少女の脳裏によぎったのは幼かった頃食べ物に文句を言ってはり倒されたという記憶であった」、とかやっぱり考えすぎててそれほど面白くはありませんでしたね。

 技術的には、私が本格的にマーカーを使い始めた最初の作品なのでいろいろとテストをしています。影の重ね塗りや、マーカーでのBG、水性マーカーと油性マーカーの使い分け等、その後の『Feather2』までの作品のマーカーのノウハウはこの作品で確立できました。

殊に油性マーカーに関しては本格的もなにも、それまではあまりの高価さ故に使うどころか店頭で触れることすら思いつかなかったのですが、曲がりなりにも働いているのでなんとか作品で使えるくらいの量は買えるようになって、複数枚の全面塗りとかやってみました。結果としては水性マーカーだとストロークの重なった部分がどうしてもムラになってしまって撮影してみるとざわざわしてしまったのですが、油性マーカー、特に今はなき「SpeedryMarker」では油性故ににじむ分、ずいぶんとムラが緩和されて見えるようになりました。


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